小さい動脈瘤は赤い

今回の総会でもまた出てましたが、

"小さい動脈瘤は壁が赤くて破れやすいのでは!?"

ということに関して、あくまで私見ですが、

1. 確かに小さい動脈瘤の壁は赤くて内部の血流が透見できることも多いです。

2. そして確かに2mmくらいの動脈瘤でも、くも膜下出血を起こしてくることがあります。

3. 動脈瘤が出血したときに、体積が減って小さく見えるのでは?という質問に関しては、Neurosurgeryに、"出血したとき、動脈瘤は知事務分けではない"という論文が出てます。
ただ、この1本を持って、全ての動脈瘤がそう、といえる訳ではないですが。

4. 2.ではありますが、それでも5mm未満の動脈瘤が出血して運ばれてくることは稀です。

5. SUAVe study, UCAS Japanでも、5mm未満の動脈瘤くも膜下出血を起こす危険性は0.3%/yr程度でした。


とすると、壁が赤いことは必ずしも出血するための条件ではなく、また、この赤い状態に対して、多くの方では修復機転が働いていて、その結果くも膜下出血として現れる人が少ないと考える方が合理的ではないでしょうか。

ただ修復機転が上手く働かなくて、虫歯があるとか、血圧が高くて壁に加わる物理的ストレスが大きい人が出血すると考える方が4.5.の現象を説明するのに都合がいいように思われます。

なので、小さい動脈瘤は壁が薄いので積極的に治療すべきだ、という議論にはどうも賛成できないわけです。