ホームページ始めました

患者さんとそのご家族の役に立つ一般的な情報、若いドクターの役に立つ(?)もっと早く知っておけば良かったという知識を発信するため、ホームページを始めました。https://www.kimura4bestoperation.comBlogもホームページで引き続き書いてます。

AI vs 教科書が読めないこどもたち

東ロボプロジェクトという単語は、何度か聞いたことがあったが、そのリーダーの新井紀子先生の著作。AI vs. 教科書が読めない子どもたち作者: 新井紀子出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2018/02/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (32件) を見…

3mm以下の動脈瘤は経過をみなくてもよい!?

「脳ドックで動脈瘤を指摘されたのですが、大丈夫でしょうか?」と、開業の先生からご紹介いただくことがよくあります。ご紹介いただく多くの方は、3mm未満の小さい動脈瘤で、 実際には動脈瘤ではないこともしばしばあります。(動脈の根元がもともと膨らんで…

若手の縫合が"ユルい"わけ

かなり前から、助手に入ってもらう若手医師の糸結びがかなりユルめで、 新しい医師が赴任してくるたびに、その場での縫い直しや、術後にガーゼの出血量の頻度が上がることがあった。最近、慢性硬膜下血腫という脳外科業界では初級手術で、材料費の節約も兼ね…

バターコーヒーダイエット

一時期テレビでも流行ったようであるが、バターコーヒーダイエットをここ2年半くらいやっている。シリコンバレー式 自分を変える最強の食事作者: デイヴ・アスプリー,栗原百代出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2015/09/18メディア: 単行本(ソフトカ…

 「科学的に証明された究極の食事」について書きました(2018/08/10).

「バターが身体に良いわけないだろう」的なオビにつられ、読んでみたが、多分「タイトルから期待される内容」ではない。https://www.kimura4bestoperation.com/blog/evidence_based_diet世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事作者: 津川友介出版社/…

compression wear

5月に日本赤十字社医療センターに異動してきたが、加齢のためか、病院がデカいためか、帰宅する頃には凄く足がだるくなります。概ね病院を出る頃には、1万歩近く歩いている状況なので仕方ないのかもしれません。そこで何か都合のいいギミックがないかと物色…

毛流線の話

最近は論文に書いたようなzigzag incisionは、時間がかかることもあり、あまり使用しなくなりました。 その代わりに毛流線を意識して線分を組み合わせる皮膚切開を必要な範囲で行っていますが、今日は美容師さんに毛流線の話を聞いてみました。「あ、毛流れ…

顔面痙攣に関するダイアモンドの記事

木原弘美さんが、顔面痙攣に関する記事を書かれていた。目の下がピクピク…顔面けいれんは何科を受診すればいい? | 医療ジャーナリスト 木原洋美「夫が知らない 妻のココロとカラダの悩み」 | ダイヤモンド・オンライン至極、まっとうな内容。 ただ、僕は脳…

KINEVOの印象 (とExoscopeに関する考察)

先日の脳外科学会総会で、Zeiss社の新型顕微鏡KINEVOについてのlunch-onセミナーで思ったことを備忘的に。1. Focus lock機能焦点を維持したまま顕微鏡(鏡筒)を動かせる機能で、腫瘍の手術などで出血点を見たいとき、あるいはどうしても手前の組織が被さって…

脳外科学会に行ってきました- PHASES scoreに関する発表

自分の発表の1つ前が松本勝美先生で、動脈瘤の自然歴の論文も書かれている方でした。 PHASES scoreも治療適応の判断に使ったら、こうなりました、という発表をされていました。PHASES scoreは日本人だと3点つくので(Finnishは5点)、何か一つ要素がつくとすぐ…

バイパス手術のTechnical noteが採用されました

浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(STA-MCAバイパス)は、現時点では"脳卒中の再発予防"に関して 十分な科学的根拠があるとは言えない治療ですが、腫瘍や動脈瘤など他の病気でも役に立つことはしばしばあり、ツールの一つとしては必要な技術です。しかし、ときどき…

タングステンメス その2 火傷に注意

別の病院で手術されたという方が、紹介状を持って来院され、傷の治りが悪いので、経過を見て欲しいということであった。どこかで見たことのある傷の状態。詳細を問い合わせていないので、あくまで憶測だが、当該病院の出しているビデオから判断すると、十中…

投資型医療

大学同期の著作。投資型医療 医療費で国が潰れる前に (ディスカヴァー携書)作者: 武内和久,山本雄士出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2017/09/14メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る医療が「実際にやっていること」と…

画像読影とAI

人工知能・深層学習に関する話題に接しない日はない。医療分野でも深層学習が現時点あるいは近い未来に活用される分野はいろいろあると思うが、すぐに思いつくのはCTやMRIの読影である。 理由はいくつかあるが、もっとも重要だと思うことは 1. データがデジ…

かくて行動経済学は生まれり

マイケル・ルイスの新著(といっても訳書だが)で、ファースト&スローのD.カーネマンについてのノンフィクションを読んだ。かくて行動経済学は生まれり作者: マイケルルイス,Michael Lewis,渡会圭子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/07/14メディア: …

手術の体位

前職では、聴神経腫瘍や顔面けいれん、三叉神経痛の手術が多かったこともあり、また看護師さんが慣れていたこともあって、側臥位での手術が多かった。(もちろん数が最も多かったのは仰臥位であるが)異動するにあたって、手術室スタッフが慣れていないと困…

タングステン メスは有用か

金属としてどのように良いのか、詳しいことはおいておくが、 脳外科医で、タングステン メス(コロラドニードルⓇなど)が好きな人は意外に多い。NTTや日赤のように、disposableな道具はdisposalbeとして使う病院では、この手の道具はコストを患者さんに請求で…

当直のtips(?)

当直のときは、どうしても睡眠が細切れになってしまうので、なんとか良い方法はないか、というのは研修医時代からの課題です。 (年齢を重ねるにつれ体力が落ちてくるので、より重要になってきます。)今までの結論としては、 ・自分はshort sleeperではなく、…

小手術tips、その2 (慢性硬膜下血腫)

慢性硬膜下血腫の手術についてですが、この手術も脳外科医が最初に執刀する手術です。局所麻酔で行うのが通常だと思いますが、研修医時代100件強の反省も込めて、メモしておきます。それは、 「切開を小さくしすぎない」 ということです。慢性硬膜下血腫をは…

気管切開のtechnical tips

気管切開は、脳外科医になって始めのころに経験する手術(処置)です。東大医局のローテータも、別のプログラムからの方も、私が10年以上前にならったやり方で処置しているので、毎回びっくりするので、ちょっと楽になる方法を書いておきます。(もしかしたら耳…

くも膜下出血後の水頭症にタップテストは?

特発性正常圧水頭症は認知症の原因となる病気で、手術で改善することができる数少ない認知症の一つです。 手術の侵襲もあまり大きくなく、これから手術数が増えていくと考えられている疾患の一つです。MRIなどで、いくつか条件を満たして、特発性正常圧水頭…

ひとり暮らしの不安

おそらく近隣のマンションに住む70代の女性が、頭痛、めまい、もの忘れが心配と受診された。頭痛もめまいも たまにある程度で、脳の問題を疑うようなものではなく、もの忘れもときどき人の名前が出てこないという程度のもの。 (僕も出てきません)身ぎれいに…

第4回手技にこだわる脳神経外科手術ビデオカンファランス~備忘

森田師匠が始めたカンファレンスに演題を出してきました。本当は去年発表しようと思っていたのですが、病院行事と重なったため1年越しのプレゼンテーションです。”内頚動脈内膜剝離術でもほとんど出血なく展開できます”、という演題ですが、もともとは一昨年…

NEJMの動脈瘤症例

先週の記事だが、New England Journal of Medicineという臨床医学では最も権威のある雑誌に巨大血栓化動脈瘤の症例が紹介されています。http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1513571 79歳の女性が、おそらく動脈瘤による圧迫とそれによる水頭症で、…

RCA analysis

失敗学などで出てくるRCA analysisは医療現場でも当然有用とされているのですが、 実際の手法は、やってみないとうまく行かないように思います。損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント 医療リスクマネジメント事業部のPDF http://oma-member.do.ai/1-1.pdf…

エリクソンの新作

1万時間の法則の元ネタの著者である A.Ericssonの本が出たので、読み始めた。超一流になるのは才能か努力か?作者: アンダースエリクソン,ロバートプール,Anders Ericsson,Robert Pool,土方奈美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/07/29メディア: 単行本…

まれな部分の動脈瘤

未破裂脳動脈瘤が見つかって、脳神経外科の外来を訪れる方は多いですが、そのほとんどの方は実際には「よくある」動脈瘤です。なにせ、50歳を過ぎると、およそ3~6%の方に未破裂脳動脈瘤が見つかると言われるので、100人、脳のMRI検査を受ければ3人から6人の…

一方の週間ポスト_かかりたくない病気、くも膜下出血

8月7日発売の週刊ポストでは、かかりたくない病気の一つにくも膜下出血が出てきます。くも膜下出血は発症すると、「バットで殴られたような」激しい頭痛があるというのが有名で、医師国家試験でも問われることがあります。それほどの激痛なので、経験したく…

最近の週刊現代の記事(未破裂脳動脈瘤の手術)に関して

週刊現代がここ数週間にわたって、医療を受けることの"危険性"について書いています。当然というか、悪くなった場合の問題が大きいこともあり、未破裂脳動脈瘤の治療に関しても指摘されています。(一部は現代ビジネスでも読めます) http://gendai.ismedia.jp…