年齢で手術適応を決めることについて

前回の講演会の話を踏まえてですが、 先月のSTROKE 2016での内頚動脈狭窄症に関する、西の方にある大学病院からの発表をまた思い出しました。発表内容は、75歳未満は内膜剥離術、80歳以上は血管内手術(ステント)という基準で治療を行っていて、その結果に関…

フレイルについて

今日は心臓血管研究所から山下武志先生を招いての心房細動の研究会でした。循環器科がホストで、脳外科の若手が前座ということで参加してきました。まず最初の話が、現在、日本で死亡数が昭和初期と同数になってきていることを提示。 もちろん、年齢構成が全…

対照的なお二人

先日の外来で、未破裂脳動脈瘤が指摘されている2人の方が来院されました。両方とも初回ではなく、経過を見ているかたです。 一方は"自分と同年代"で、3mm程度の小さい動脈瘤をお持ちの方ですが、 紹介元でも「治療した方がいいかもしれない」と言われたとい…

動脈瘤セミナー

大塚製薬主催のライブセミナーに参加。上山先生はまさにlast hopeなので、うまくいかなかった症例を提示されても非難されない数少ない先生であり、そのような症例こそ勉強になるわけです。 前にも提示されていたcaseですが、脳底動脈本幹を遮断すると血栓化…

内視鏡的神経血管減圧術

神経減圧術学会の際、八王子医療センターから内視鏡だけでMVDという演題がありました。2cmの開頭で、内視鏡の視野のみで手術を行うという演題で、思考実験としては考えていましたが、実際にやっているのをみると、どきどきです。内視鏡のメリットとして、局…

第18回日本脳神経減圧術学会

先週、仙台で顔面痙攣・三叉神経痛などに関する学会である脳神経減圧術学会があり、参加してきました。基本的には、それほど新しい内容が出てくる分野ではないと思われますが、それでも40を越す演題が出されていました。 同時開催のてんかん外科学会に参加し…

連続写真の同じ場所を切り出す(備忘)

論文を書いたりするときに、MRIやCTの一部を連続して切り出して、貼り付けたいことがあります。 以前に同じことをやったときは、大体の大きさで切り出して、貼ってはトリムを繰り返して、画像を作りましたが、やっぱり同じような単調な作業って、いろいろな…

手術の道具の使い方

先日たまたま、森田先生が日本医大の医局員向けに書いた記事を読みましたが、その中に「(手術)道具について」という回があります。 http://nms-neurosurgery.com/?tsubuyaki=道具についてhttp://nms-neurosurgery.com/?tsubuyaki=道具について②2回に分かれて…

研究会における企画討論

関東脳神経外科懇話会という会があります。 関東の脳外科施設長が40人超も幹事として名を連ねている歴史ある会ですが、最近は若い脳外科医の参加が少ないことが問題になっています。 今月もその会がありますが、今回は公募演題はなしで、症例提示&討論(開頭…

手術マニアの多摩の夜

先々週の話ですが、脳神経外科手術夜話という趣のあるタイトルの会(第12回)でCEA(内頚動脈内膜剝離術)のプレゼンテーションをしてきました。この会は、いわゆる一般演題のあと、招待講演では演者ができるだけ未編集のビデオをプレゼンするというものです。東…

Cadaver dissection course at Keio Univ.

慶応大学のcadaver dissection courseに参加してきました。といっても、家庭の事情で結局1日目の午前中のみの参加で、参加費のことを考えるとやや残念ではありますが。しかし、おそらく日本で最もanterior petrosal approachを使っているであろう、吉田教授…

手術ビデオがアクセプトされました。

前回に続き。いまどき、「俺の手術を見ろ!!」というのも流行りませんが(しつこい)、peer reviewを経て採用されるのはうれしいです。http://thejns.org/doi/abs/10.3171/2015.7.FocusVid.14578?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_p…

「チームの力」著者講演会

病院の医療安全講演会があり、「チームの力」著者 西條剛央先生の講演があった。西條先生は、東日本大震災の際に、被災住民の自立のため重機免許取得プロジェクト、家電配布プロジェクトなど様々なボランティアのチームを立ち上げた方。 「チームの力」には、…

Technical Note、アクセプトされました。

頚動脈内膜剥離術(CEA)の最中にICGをこうやって使うといいんじゃない?という論文(technical note)を投稿しておりましたが、British Journal of Neurosurgeryに採用いただきました!!http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26045141ただ、CEAも日本の成績は、(す…

またしても手術画の話

恩師が幹事の学会に参加。上山先生の手術記録に関する特別講演があり、興味深く聞いた。以下備忘を兼ねて ( )は考えたこと。1. 一番勉強になるのは"自分の"ビデオを早送り"せずに"見ること。(最初の頃は、道具の出し入れも遅いし、脳だけ映っている時間も長…

6/13 懇話会の備忘

あまり聞く機会がない、手術記載の書き方の口演があった。・手術直後にラフスケッチ ・道具はこだわる。紙も。色鉛筆はドイツ製(重ね塗りができるよう。ちなみに自分のはFaber-Castel) ・修正液やボールペンの赤でクモ膜・栄養血管を表現 ・時間が空いている…

第70回関東脳神経外科懇話会

頚動脈内膜剝離術(CEA)で演題を出してきました。「いまさらCEA!?」とも思いましたが、参加者がベテランの大御所ばかりの会なので、 若手向きの演題があった方がいいかな、ということで設定。他施設の演題も、若手医師にとって比較的身近に感じられるものばか…

...。あと...はどうですか? ...あと...はどうですか?

緊急手術でない、つまり予定して行う手術の場合は、外来とか病棟で手術の説明を行います。 また、手術後も、きずの状態を確認したり、体力が回復してきているか、ということを確認するために、少なくとも数回は来ていただくことになります。患者さん側も、普…

「この手術はカンタンですか?」

患者さんやご家族に、 「この手術は難しい手術ですか?」 と聞かれることがある。あるいは、「難易度的にはどうですか?」と問われることもある。本当に難しい、脳幹に癒着した実質性の血管芽腫とか、eloquent areaのAVM、脳底動脈先端部の巨大動脈瘤などを…

医師が「やりたい手術」「本当はやりたくない手術」(週刊現代)

病院内のコンビニに行った際に、タイトルが目にとまったので、思わず手に取ってみたら、やっぱりありました。脳外科の手術。やりたい手術:2mm程度の未破裂脳動脈瘤 って、と目が点になりますが、誰がやりたいのでしょうか!?2mmの動脈瘤がくも膜下出血を起こ…

手術ビデオが採択されました!

Neurosurgical Focusという(ちゃんとした)雑誌の動脈瘤特集に、手術のビデオが採択されました。http://thejns.org/doi/abs/10.3171/2015.V1.FOCUS14577今時、"俺の手術を見ろ!!"、といった話はあまり流行りませんが、 やはり外科医なので、peer reviewを経て…

製薬会社さん後援勉強会 2件目

続いて、文京脳腫瘍研究会「獣医領域の脳神経外科手術」 を拝聴して来ました。途中からだったこともありますが、 実際の診療に役立つことはあまりなかったですが、 森田教授から、informed consentはどうされてますか?という感じの質問。 犬猫の脳腫瘍の診断…

製薬会社さん主催勉強会(2015/02/02)

今日も上山先生の動脈瘤の治療の話を聴きに行ってきました。クローズの会ということもあり、本音での話ということでしたが、 概ね同意。 ただ、治療する動脈瘤のサイズに関しては疑問。SUAVe研究、UCAS Japanのサブ解析でも5mm未満の動脈瘤がくも膜下出血を…

外科系医師の大学院

先日、大学院在学中の同門の医師達と食事をする機会がありました。自分より若い医師は皆大学勤務か大学院という会でしたが、 誰かが「大学院に行く間、手術しないことは不安じゃないの?」と聞きました。 (僕ではないですが)その答えに驚きましたが 「いや、…

National Clinical Database

脳神経外科学会もようやく全国でのdatabase構築に乗り出すようで、外科領域のNational Clinical Databaseに参加するということです。 昨日は、その説明会に参加してきました。以下 備忘のため 各施設データ入力担当者を決める。 オンラインでの登録 IDは病院…

ICSS ; CEA vs CAS

またCEA vs CASのRCTです。http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60239-5/abstractどちらでも治療可能と思われる症候性、>50%狭窄に対して、CEAかstentingを行ったという論文ですが、 いまだにNASCETの基準で(血管内を含めた)…

ISAT 2

ISAT IIが始まっています。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23714335?dopt=AbstractISAT同様に"clip / coil どちらでも治療可能な動脈瘤を割り付けて"coilの優位性を証明するという目標です。 MCAもcoilで治療されることが多くなってきているということ…

EANS 2014 in Prague

結局 e-Posterしか採用されませんでしたが、参加してきました。 以下、興味を引いた部分 Parkinsonism, OCDほか精神疾患に対するNeuro-modulation (DBSなど)は発展の余地大。 Open surgeryの役割はどんどん少なくなるだろう。 (動脈瘤→血管内治療、glioma→薬…

顔面痙攣の認知度

さすがに神経内科・脳外科医で顔面痙攣を知らない人はいないと思いますが、 外来を受診される方に、いままでのエピソードをうかがうと、医療業界でも意外に認知度が低いことに驚きます。「目の周りがぴくぴくなる」「顔がぴくぴくする」「目が開けていられな…

外来で手術を勧めていた方のくも膜下出血

SUAVe studyやUCAS Japanの結果から、5mm未満の未破裂脳動脈瘤の方には、積極的には(血管内手術も含めた)外科治療を(ますます)勧めなくなりました。ただ、そんな中でも比較的若くて、形状が不整で、家族の方にくも膜下出血を患われた方がいたりする場合には…