またしても手術画の話

恩師が幹事の学会に参加。

上山先生の手術記録に関する特別講演があり、興味深く聞いた。

以下備忘を兼ねて 
( )は考えたこと。

1. 一番勉強になるのは"自分の"ビデオを早送り"せずに"見ること。

(最初の頃は、道具の出し入れも遅いし、脳だけ映っている時間も長くて苦痛なのだが、自分が思っているより脳のretractionが強いことがしばしばあったりして、反省することは沢山ある。)

2. 術前にできるだけ正確なイメージを浮かべて画を描いておく。

(最近、教育という観点からよく言われていることではあるが、必ずしも自明ではない。しかし、実際に描いてみることによって、実はあるべき解剖学的な構造が描かれていなかったりすると、その部分は検討不足ということであり、再度画像を見直すなどの必要が出てくるであろう。また手術中に得られる経験ということを考えても、実時間の情報量を全て消化するのと比べて、自分が思い描いていた像との差分を処理する方が、負担が少なく、得られる経験値が増えそうな気はする。)

3. 手術記載に描く際は
a. 分かりやすく
b. 解剖学的に正確に
c. 簡便・迅速に
d. 画材はボールペン、色鉛筆など,→描く閾値を上げない
e. 自分のために描く

(先週の慈恵医大の先生とは,c,dは真逆。)

4. 描く内容としては、
a. 解剖学的位置関係
b. 手術中の問題点
c. 癒着の有無
d. 動脈硬化の程度、穿通枝の有無など、術前の画像などの情報では分からない情報を盛り込む
e. 血行再検は、donorやrecipientの位置

5. 狭くて深い術野の画を分かりやすく描くのは画才もあるが、道具をかき込むことで実現。

(画才...って何の学会?  ただし、吸引管や脳べらを使って深度を表現するのは自分もよく使用。)

6. うちの若いのにはその日のうちにビデオ編集させている。
(ホントはそうしたい)


手術記録にしても、手術ビデオの編集にしても、一つの手術を実際、もしくは頭の中で再生することで、追体験することが可能になるんだと思います。

しかし、御大が自分で毎回イラストを描いている、という講演の前に、こうすると「使い回せる」といった演題があるのも興味深い。