内視鏡的神経血管減圧術
神経減圧術学会の際、八王子医療センターから内視鏡だけでMVDという演題がありました。
2cmの開頭で、内視鏡の視野のみで手術を行うという演題で、思考実験としては考えていましたが、実際にやっているのをみると、どきどきです。
内視鏡のメリットとして、局所の構造がより精細に見えるということがあり、今回の発表においても顕微鏡の拡大画像では見られないきれいな画で手術がなされていました。
顕微鏡の固定・位置の微調整は固定アーム側のアダプタで微調整が可能なようで、これを用いて内視鏡を浅くしてから移動を行うということ。道具に関しては、ハサミは特注のものをあつらえ、バイポーラセッシはフジタの細いものをそのまま使用しているということでした。
その上で、ご遺体を用いた練習(研究)を行った上で、10件近く施行し、良好な結果を得たということ。
未来のあるところではありますが、
1. まず、もともとkey hole(母指頭大)の大きさでできる手術を内視鏡でやっても、小脳を少し引くのがなくなるだけで、これが求められている低侵襲性なのかということ。
2. なにも起こらなければ、内視鏡でもいいのですが、これは例えば、穿通枝からの出血や、その他のトラブルが起こると悲惨なことになるのでは、という危惧を覚えました。
彼らがいうには、この先には脳外科領域のrobotic surgery (Da Vinciみたいなもの)を見越しているということですが、正直な感想としては、この延長線上には脳外科のrobotic surgeryはないだろうおもいます。
結局、術中に出血が起こった場合、腹腔であれば、お腹を切るのはそれほど時間がかからないでしょうが、開頭はそういうわけにはいかないと思います。(準備されていれば、もちろん数分で開くでしょうけれど)
まして小脳橋角部は重要構造が密集しているところであり、どういう危機管理でやっているのだろう、というところが一番疑問です。
トラブルになったときにすぐに対応できない手術は、いくらチャンピオンケースが綺麗でも安全な手術とは言えないのではないでしょうか?