一方の週間ポスト_かかりたくない病気、くも膜下出血

8月7日発売の週刊ポストでは、かかりたくない病気の一つにくも膜下出血が出てきます。

くも膜下出血は発症すると、「バットで殴られたような」激しい頭痛があるというのが有名で、医師国家試験でも問われることがあります。

それほどの激痛なので、経験したくないわけですが、一方でそのまますぐに意識を失って事切れてしまう方も結構な頻度でいます。
つまり、朝起きたら亡くなっていたとか、風呂のなかで亡くなっているのを発見された、という方々の一部はくも膜下出血によるものでしょう。
これは、外来にいらっしゃる多くの患者さんが望まれる、"ぴんぴんコロリ"の一つの形である訳です。

くも膜下出血で亡くなる方の大半は、見つかっていなかった動脈瘤からの出血によりますが、脳ドックなどで見つかっている場合、やはり話は単純ではありません。

ぴんぴんコロリとなるのは、重症のくも膜下出血です。現時点で、動脈瘤からの出血を完全に予防する方法は(カテーテル治療を含む)手術以外になく、また動脈瘤が出血したときの重症度をコントロールする方法はありません。


見つかった動脈瘤を、手術を行わずに経過を見る場合、血圧が高い方は出血のリスクが高いとされているため、血圧のコントロールを行いますが、出血を完全に防ぐことはおそらくできないと思われ、運が悪いと(?)出血します。
(くも膜下出血で運ばれてくる方で、いままで血圧が高いといわれたことなどない方は多いです。)

また、血圧のコントロールが良いと、くも膜下出血の重症度が低い(=後遺症が残りにくい)かというと、そうでもないわけです。

重症だったら、あるいは高齢だったら治療をしないという病院もあるかもしれません。しかし例えば80代の方で、重症のくも膜下出血を起こされた場合には、何もしないという選択肢を選ぶのはそれほど抵抗があることではないかもしれませんが、90歳でちゃんと意思疎通できるくらい軽症だったら?、重症だけど"まだ"50代なのに、と普通は一筋縄に行かないことが多いです。

なので、未破裂脳動脈瘤が見つかった場合でも、「出血したら死ぬからいいんです」と会話の窓を閉じてしまうのではなく、一応は担当医の話も聴いてもらえればと思います。