最近の週刊現代の記事(未破裂脳動脈瘤の手術)に関して

週刊現代がここ数週間にわたって、医療を受けることの"危険性"について書いています。

当然というか、悪くなった場合の問題が大きいこともあり、未破裂脳動脈瘤の治療に関しても指摘されています。

(一部は現代ビジネスでも読めます)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49371?page=2

少なくとも脳動脈瘤に関する部分に関してですが、
一読して読んでみて気付くことは、実名でコメントを述べている方はまっとうな(当たり障りのない)事を言っています。
すなわち、「5mm、7mmくらいの動脈瘤は治療を考慮すべきだが、3mmとか小型のものは経過観察が良い」
と、脳ドックガイドライン脳卒中ガイドラインなどに書かれている内容を踏襲していると言えます。
(ガイドラインの根拠となるどの論文においても、大きさが大きくなると出血のリスクが上がることが分かっている)

一方、名前の出ていない方は、「私も脳動脈瘤の患者をたくさん診てきましたが、実は破裂して亡くなったという方はほとんどいません。統計的にも、100人中1人いるかいないかです。」

と、経験を元にコメントしています。

確かに、実際に外来で経過を見ている方に関していうと、出血を起こされる方は稀です。
但し、通常は大きさが5mmとか7mmとかあって、形がいびつなもので、全身麻酔のリスクが低い(心不全肺気腫などの合併症がない)、余命が期待できる方には治療をお勧めするのが普通です。

もちろん、担当した医師の考え方によって、話の持っていき方に差は出てきますが、
ガイドライン(もしくは多数の論文)を元にした出血のリスクを説明していない場合、出血を起こしたときに法的責任を問われる可能性があるためです。

確かに小型の動脈瘤にせっせと手術を行っている病院もまだあると思いますが、未破裂脳動脈瘤と十把一絡げにして、「治療しない方がよい」という結論に持っていくのは適切ではないでしょう。

ただ、記事にでてくる実際の(?)患者さんのように、治療を契機に人生が暗転する方もいるわけであり、医療者側としては、そうならないように良い手術を行うことが大事だと思います。