バイパス手術のTechnical noteが採用されました

浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(STA-MCAバイパス)は、現時点では"脳卒中の再発予防"に関して 十分な科学的根拠があるとは言えない治療ですが、腫瘍や動脈瘤など他の病気でも役に立つことはしばしばあり、ツールの一つとしては必要な技術です。

しかし、ときどき、以前に開頭手術を受けたとか、けがでSTAが切れたことがあったりすると、これが使えないことがあります。
そんなとき、後頭動脈(OA)もdonorとして選択肢になりますよ、というtechnical noteがWorld Neurosurgey誌(2016 Impact Factor: 2.592)に採用されました。

http://dx.doi.org/10.1016/j.wneu.2017.08.126

過去の文献を当たってみると、レジェンド R.SpetzlerとN. Chaterが1例報告しているのみで、多分それほど行われていないのではないでしょうか.
(でもNEJM のいわゆるBarnett studyではEC-ICバイパスとしてOAに言及する部分があるのですが。)

OAは 周囲の結合組織がOAより固いので、剝離の際には顕微鏡下に、STAより慎重に行う必要がありますが、結構長く、実用的な径を確保することができるので、オプションとしては知っておくほうがよいと思います。

「おれの手術を見ろぉ!」という時代ではないですが、手術屋はいろいろな引き出しを持っている方がいいよ、シリーズです。