一途一心、命をつなぐ その1
天皇陛下のCABGを行ったことで一般の方にも有名になった天野教授の本です。
比べるのも恐れ多いですが、外科医として参考になったり、共感できるところがたくさんありました。
- 作者: 天野篤
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2012/12/20
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
p26 "外科医という人種は、手術をやり続けていないと腕が落ちてしまうという不安を常に抱えている。...”
僕自身、大学院に行かず、代々の医局長のおかげと、運命のいたずらで手術件数の多い病院ばかり異動して、平均してもmajor surgery (CEAがmajorかというところには?がつきますが) を毎年100件以上執刀させていただいていますが、常にこの恐怖があります。
研究から臨床に戻った時期に、とんでもないトラブルを連発、という話はどこの大学でもよく聞きますし、数が全てではないですが、手術の勘所というのは数やってないと分からないじゃないでしょうか。
p175 "過去の貯金でやりくりするようになったら、もうそこで止まりだ。進歩はない。"
会津若松で修行させていただき、その後の大学・都立病院で仕事していたとき、上級医は黙って見てくださっており、「こうした方がいいぞ」と言われることもほとんどなかったので、全く福島での3年間の貯金で仕事しているような気分でした。
もちろんまだまだ上手くなれると思ってやってた訳ですし、今もそうですけど、常にこれを意識するというのは結構大変なのです。
一般向けの本ですが、医療従事者が読んでもとても面白い本です。