医者に殺されない47の心得 ~近藤誠著
"患者よ、癌と闘うな"で有名な近藤先生の新作です。
医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法
- 作者: 近藤誠
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2012/12/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトルから癌だけでなく、幅広いテーマを扱ったものと思い、未破裂脳動脈瘤の話も出ているのかな、と思って立ち読みしてみましたが、やっぱりありました。
”10mm以下の動脈瘤の出血率は0.05%”
と、とりあえず
ISUIA 1999の結果を引用しているところがイマイチですが、UCAS Japanの結果(2012)にも言及されておりました。
一応、誤解を招きそうな点を指摘しておくと、出血率xx%と書いてあれは、それは"1年間に"出血する危険性がxx%ということなので、もちろん、出血率1%であれば、1年間あたりで言えば、100人同じような動脈瘤を持っている人がいれば、そのうちの99人はくも膜下出血を起こさないわけです。
そういう意味で、著者の言う、"ロシアンルーレット”というのは正しいです。
ただ、誤解してはいけない点は、このロシアンルーレットは毎年続くということです。
つまり、のこりの99人のうち,およそ98人はくも膜下出血を起こさずに、翌年に繰り越され、また次のルーレットに入るわけです。
というわけで、60歳の出血リスク1%/年程度の動脈瘤をお持ちの方が、この本を読まれるとして、
80歳までのくも膜下出血を起こさない可能性(%)= 0.99^20 x100 =81.2%
なので、5人に4人は大丈夫ということになります。5人に1人くも膜下出血を起こすと言われると、ちょっと雰囲気が変わってしまうかも知れません。
あと、UCAS Japanに限らず、この手の調査に登録されて、経過を見られる方は
1. 出血の危険性に関して、取り合えずは、経過を見ても大丈夫だと、医者が判断した方。
2. 治療を勧めたが、リスクを許容できないなど、血管内手術を含めた外科的治療を希望されなかった方。
3. 医者が、治療のリスクが上回ると判断し、かつ他の医師を受診しなかった?方
になるので、
例えば、小型でも下の様な不整形な方は普通はenrollされないわけです。
ま、この方が、自然経過で出血したかどうかは分からないわけですが。
とは言っても、それでもくも膜下出血を起こす人はほんの一部でしょうから、3mmや5mmくらいで、ほとんどまん丸な動脈瘤が見つかった場合は、禁煙、降圧、あれば虫歯の治療をして、経過を見るというのが妥当なのではないでしょうか.