再び 「医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法 [新書]」

先日、五反田RemyのBook firstに立ち寄った際、近藤誠氏の著書が依然として山積みになっていたので、Amazonを覗いてみると250ものreviewがついていてびっくりしました。

そのreviewの1つに、いかに現在の癌治療が患者に負担を強いているか、後悔を生んでいるかというものがありましたが、医療者としては謙虚に耳を傾けるべきところもあると思います。

ただ、脳動脈瘤に関する部分は補足されるべきで、以前にも書きましたが、

http://d.hatena.ne.jp/tkim-tky/20130311/1362980305


この手の調査にはバイアスが避けられません。

UCAS Japanに限らず、この手の調査に登録されて、経過を見られる方は
1. 出血の危険性に関して、取り合えずは、経過を見ても大丈夫だと、医者が判断した方。
2. 治療を勧めたが、リスクを許容できないなど、血管内手術を含めた外科的治療を希望されなかった方。
3. 医者が、治療のリスクが上回ると判断し、かつ他の医師を受診しなかった?方

これらの方々を観察した結果、出血の危険性が年間1%であったとすると、

1年間の間に出血しない確率=(1-0.01)x100(%)=99(%)

たしかに単純に1%だと著者のいうようにロシアンルーレットなみです。

ただし、このロシアンルーレットは有無を言わさず次のゲームに入ります。(他の病気なり事故なりで亡くならなければ)
つまり、くも膜下出血を起こさなかった99人は次の年も、出血率1%のロシアンルーレットに放り込まれることになります。

見つかってから2年間、くも膜下出血を起こさずに過ごす確率は
0.99x0.99x100(%) = 98.01(%)

...
見つかってから10年間くも膜下出血を起こさずに過ごす確率は、同様に
0.99^10=0.90438
年間のくも膜下出血を起こす危険性が1%なら、10年では大体10人に1人の割合でくも膜下出血を起こすという計算になります。

あとは前回記事などを参考にしていただければと思いますが、

1. 単年度の確率は、小型の動脈瘤に関してはやはり高くないものの、余命が長い場合には累積の危険性を考慮した方がいいかもしれない。
2. くも膜下出血は頓死しうる病気なので、(読売巨人軍 木村コーチなど) 血管内手術を含む外科治療を受けない場合にも、人生に悔いを残さないよう配慮する。

等、近藤先生も記載して下されば良かったのにと、再び思った次第です。