期待はずれのセミナーの考察

賢者ではないですが、他の外科医が経験した失敗例、治療困難例を知識として知っておくことは同じ轍を踏まないために重要です。なので"いかに失敗を繰り返さないか"系の副題がついている研究会などにはなるべく出たいと思っているのですが、今日のは(あくまで僕の中で、時間の使い方として)失敗でした。

途中から何が期待はずれだったのかを考えていたのですが、
1. 前半、「一般的にこのような方法で教育されていると思いますが、...」の後の内容に特に目新しい内容がなかった。つまり術者教育について真面目に考えている人は世阿弥からneuroscienceまで取りあえずかじっているという前提で話をすべきだったのではなかろうか。

2. 後半の演者は,前半のtop surgeonの弟子ということだが、まず個人的に彼が無茶苦茶上手な外科医ではない。いい意味で普通に上手ではあるけれど。

3. そして、話し始める前に「打ち合わせをしていないのでスライドがかぶりますが...」と言い訳で始まる。  これはプレゼンテーションの際には絶対に言ってはいけないセリフで、内容によらず言い訳で始めるのは聴衆の時間を軽視しているという印象を持ってしまいます。また企画した人、後援する会社に対しても失礼です。

4. 元ボスとの鼎談みたいな感じになっているので、気持ちは分からないではないが、内輪の笑いで盛り上がるのを見せられるのは、素面で飲み会を見物させられているようで不快。

5. 50歳前の部長に、教育を受けてこうなりましたという(普通な)発表をされても、誰の参考になるのでしょう? 同年代の外科医も来てたと思いますが、その方々はどちらかというと教えるほうでしょうから、直接の参考にはなりません。逆に若者にとっては十数年修行して50歳前になってそうなれるのかあ、とspanが長すぎてあまり参考にならないんでないでしょうか?
少なくともあまりencourageされないように思いました。

6. 細かいことを言い出すと、才能より努力が大事と言いたいのはよく分かるのですが、F=f(才能、努力^2)とどうして努力は羃乗になるのか意味分かりません。


それでも参考になったのは、traineeのことを考えすぎてはいけないということ。”あくまでpatient first”というのは、もちろん当たり前のことですが、top surgeonでも、下にさせすぎて失敗したことがあるというのは、日々そこで悩む者にとっては救いになりました。